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編集後記
高安 正和
pp.968
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101277
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本号の“扉”の「維新,…それから」は長州藩が維新を経てその後の日本の最大の勝ち組になり,それが現在の山口県の医療制度に繋がる歴史の妙を,鈴木倫保先生が斬新な切り口で語られており,明治維新前後の歴史に最近関心をもっている私としては,たいへん興味深く読ませていただいた.ちなみに今年の夏休みは妻と共に3度目となる東北温泉めぐりの旅をした.東北の温泉はたいへん変化に富み何度行っても楽しませてくれるが,途中,五所川原,黒石,小坂,角館などの小都市に立ち寄ってみると,こういった日本の小さな町には明治前後のそれぞれの歴史がりっぱに保存されていることが実にうれしい.
さて,中野伊知郎先生らの総説「癌と癌幹細胞」では脳腫瘍の分野では未だ発展途上である腫瘍幹細胞の最新の研究について明快に解説していただき,この分野の今後の発展が大いに期待された.福永篤志先生には「医療訴訟予防論」という興味をそそられるタイトルで医療安全全般にわたっての予防策という難しいテーマを論じていただいた.その他,2編の研究論文と4編の症例報告はいずれも興味深く,一読に値する.連載中の臨床神経心理学入門では,近藤正樹先生に脳外傷におけるdiffuse axonal injuryと脳梁病変における高次脳機能障害を取り上げていただき,たいへん有益であった.また,宮武伸一先生の「第18回国際脳腫瘍カンファレンス」報告では,自分には畑違いの脳腫瘍分野の国際学会の雰囲気がよく理解でき興味深かった.
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