追悼
Irving Spencer Cooper先生と私
松本 圭蔵
1
1徳島大学脳神経外科
pp.610-611
発行日 1986年4月10日
Published Date 1986/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202208
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昭和60年6月22日(土)午前11時半,突然FlorideのCooper先生から徳島大学の私の部屋に国際電話がかかってきた.元気なお声であったが,肺癌を患っているので,日本で最近開発されつつあると聞く免疫抗癌剤を使ってみたい,Torontoまで持ってきてくれという依頼であった.
その数目後,Torontoのホテルの1室で12年ぶりに拝眉の機会をえた.私の頭が白くなったと先生は笑われたが,一方,先生は若々しくほとんど昔と変わらぬ印象であった.つもる話はとめどもなく続いた,先生は数年前交通事故で左眼の視力を失い手術ができにくくなったこと,坐骨神経痛で検査をすすめてゆくうち肺癌に気付いたという経過,現在の病状と今後の治療方針,子供さんたちを含めた御家族のこと,また,てんかん外科における新しい研究課題の発見など--今にして思えば,私に対する遺言であったかも知れないが--次から次へと話しつづけられた.その翌日は,長男のDouglas君(弁護士開業)と先生につきそってきたWarren Goldman先生(Neurosurgery, Medical College of Pensylvania)をまじえて,また,長時間話し込んだ.
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