Japanese
English
術技
Parkinson症候群の治療としてのCooper氏淡蒼球破壊術
Experiences with Cooper's Chemopallidectomy
星野 列
1
,
松永 守雄
1
,
伊藤 隆
1
Noburu HOSHINO
1
,
Morio MATSUNAGA
1
,
Takashi ITO
1
1京都大学医学部外科学第1講座
pp.861-864
発行日 1958年9月20日
Published Date 1958/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202237
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人脳に対する定位的腦深部手術装置は,1947年にE.A:Spiegel&H.T.Wycisによつて始めて発表されたが,ややおくれて我国に於ても楢林等が独自の装置を考案し,Parkinson症候群を主とする多数の不随意運動症患者に対して,淡蒼球の定位的破壊を試み,極めてすぐれた業蹟を挙げている.その後,彼等自身を含めてかなり多くのものが,新型あるいは改良型の装置を発表しているが,いずれも腦内に設定した互に直交する3平面上における坐標を気腦図から計算して穿刺を行うもので,装置はかなり複雑なものとなつている.
一方,1954年I.S.CooperはMonro孔の中心より5mm後方の垂直前額断面において,頬骨弓の直上部と第3腦室の最上部とを結ぶ線(AB)は同側の淡蒼球内半部を通過し,かつ淡蒼球内半部の中心はこの線上で側頭葉皮質表面から4.5cmの深部にある(第1図)という解剖学的所見を基礎として,簡単な定位装置による淡蒼球破壊法を提唱した.第2図はCooperの原図に従つて我々の作製した装置で,3コの固定釘によつて頭部に固定するのであるが,先端の固定釘(1)の方向と針保持器の方向とが厳密に同一線上にあるように設計してあるので,この線が前記の頬骨弓直上と第3腦室最上部とを結ぶ線(AB)に一致するように装置を頭部に固定し,針を腦表面から4.5cm深部にまで進めれば淡蒼球に刺入する訳である.
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