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I.はじめに
脳・脊髄病変は血管造影やCT scanなどの技術の進歩によって,極めて正確に検出されるようになった.しかし,これらの病変の手術中において,しばしば病変の正確な存在部位の決定が困難なことがある.脳内病変の術中での部位決定のために,CT scanを利用した定位的な方法も報告されているが1,12),これは術中診断法としては手技の繁雑さなどの短所を有する.これに対して超音波法は,手技の単純さや安全性に加えて,多くの有用な情報を提供することから,外科領域の多くの術中診断に使用されはじめている.脳外科の分野においては,超音波法による脳の検査は泉門を通した方法(transdural ultrasonography)4,5)が新生児や乳児に対して可能だが,手術による頭蓋骨除去によって成人にも実施できる9,11).さらにこの超音波法を術中に応用し,脳などを直接scanningすることによって,超音波法は非常に有効な術中での診断法となりうる.
1950年にFrench,Wildらは8),A-mode超音波法を用いた脳の検査を初めて行っている.彼らは皮質下脳腫瘍の部位決定のために,死亡した患者の脳に対して直接scanningを実施した.1960年代には,脳腫瘍や脳内血腫の検索のために,A-modeによる超音波法の術中への応用が数多く報告され6,14,15,19,21),脳病変に対する超音波法による術中診断の有用性が提唱された.一方,B-mode超音波法の脳外科の術中への応用は1965年よりはじまったが10),近年のB-mode real-time装置の改良に伴い,ここ数年,脳外科領域における術中超音波法が注目を集めている.
B-mode real-time ultrasound using 5 or 7.5 MHz transducer has been employed during 21 operations for brain pathology and spinal cord lesions. Ultrasonic scanning was performed at the following operations: 10 brain tumors (4 glioblastomas multiforme, 2 astrocytomas, 1 medulloblastoma, 2 metastatic tumors), 2 brain cysts (arachnoid, epidermoid), 1 tuberculous abscess, 3 cerebral hematomas: 2 spinal cord tumors (malignant melanoma, glioma), 2 syringomyelias, 1 posterior longitudinal ligament thickening.
Operative ultrasound was useful prior to dural incisions and particularly for subcortical lesions.
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