聴神経の易傷性と回復能

Surgical Vulnerability and Functional Reversibility of the Acoustic Nerve

I．はじめに

　聴神経腫瘍手術の究極の目標は，顔面神経機能のみならず，可能ならば聴覚機能をも温存しつつ，腫瘍を全摘することにあるとされ，このことは，近年の診断，治療技術の進歩に支えられて次第に具体化しつつある^{10,32,42,51）}．

　一方，聴神経，蝸平およびその栄養血管系が手術などの侵襲に対して極めて易傷性（vulnerability）に富み，聴力温存手術（operation for hearing preservation）が困難であることは多くの臨床的事実が示しているところでもある^{26,27,45.48）}．

The surgical vulnerability and functional reversibility ofthe acoustic nerve was evaluated electrocochleography (EcochG) and histologically.