シリコンゴム栓塞術による脊髄動静脈奇形の1治験例

Silicone Pellet Embolization of Spinal Cord Arteriovenous Malformation:Case Report

Ⅰ．緒言

　脊髄の動静脈奇形（以下AVMと略す）は選択的脊髄動脈撮影の進歩と手術用顕微鏡の使用により全剔出が可能となってきたが，脊髄内あるいは脊髄前面のものや，広範にひろがり，多数の導入動脈をもつものは依然として剔出が困難である．栓塞術が別出不能例の次善の策として用いられたり，全剔出の事前処置として行われているが，本邦では報告もきわめて少ない．

　最近，私共は直達手術を試みたが，硬膜外腔からの出血多量のため手術を中断した胸髄AVMの患者に，シリコンゴム栓子による栓塞術を施行し，良好な結果を得たので報告する．

This is a report of case with the spinal cord arteriovenous malformation in which silicone pellet embolizations of the feeding arteries were carried out through a percutaneous catheter. The technical details are presented.