海外だより
中国の刺針術について—ある訪中記
飯塚 一
pp.860-862
発行日 1978年9月10日
Published Date 1978/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200865
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出発前2週間「中国行ですって?」中欧に住んで居ながらMont-Blanc(4807m)の登頂すら許可して呉れない恐妻が顔をしかめる.チフス,パラチフス,コレラ,マラリア,流行性肝炎,破傷風,天然痘等,熱の出る程ワクチンを身につける.「ペストとレプラの予防注射はありません」と市衛生局の医官が注意して呉れた.「寄生虫位なら克服して見せるぞ」と悲壮な覚悟をする間もなくドイツ医師協会代表団一行を乗せたルフト・ハンザ機は香港啓徳空港に着陸する.訪中団長はDer Deutsche Arzt誌の編集長で愉快なK君だが,他に脳神経科医の居ない一行20名中片言乍ら中国語を解する私を団長代理に祭り上げた.
翌日1日は香港見物に費したが,現在の中国を知る為には盆栽的とは云え未だ伝統を停める台北か、せめて資本自由主義のショウケースとしてのこの「臭港」を見て置く必要がある.日本乃至は西欧と中国の直接比較は旧中国の認識無しには無理だ.
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