扉
Good Patient Careと病歴
角家 暁
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1金沢医科大学脳神経外科
pp.795-796
発行日 1977年7月10日
Published Date 1977/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200663
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私どもの大学病院が約3年前に発足した時,基本姿勢の1つとして打出されたのが臨床患者よりの情報を有機的に管理して診療内容の向上をはかろうということであった.この基礎として「病歴の中央管理」と「1患者1ファイル方式」が提唱され,更に1969年Dr.Lawrence Weedによって創始されたProblem Oriented System(POS)をおしすすめることになり,私もこの計画推進の一員として加わることになった.
現在の臨床医学が,幾多の先人によってなされた緻密な症例検討の上に築きあげられてきたし,将来もまたこの遺産の積み重ねの上にたって発展してゆくであろうことは間違いない.そしてこの基礎になるものは一人一人の患者の詳細な記録である.しかし,いかほど正確,かつ微にわたったカルテでも,その中におさめられてある情報の管理が杜撰であれば利用することがむずかしく医学の発展に寄与することは少ない.このためにカルテは貴重な財産とされ,その整理,保存,資料の取出しにはそれぞれ独自の工夫のもとに細心の注意をはらって取り扱われているが,多くの所では各診療科,教室単位のDepartment Oriented方式で,病院全体の立場にたって病歴にふくまれている多種多様な情報を総合的に利用しようとする管理方式は理想とされながらもなかなか現実のものになりにくかった.
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