News & Master's View
末期腎不全の発症率に関する“Good News”
成田 琢磨
1
1秋田大学医学部 内科学講座 内分泌・代謝・老年医学分野
pp.492
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100727
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内容としては米国での糖尿病性腎症による末期腎不全の発症率(糖尿病患者数あたりに換算して)がCDCの公表したデータによると90年代後半から減少してきていること(2005年に公表された)を中心に本当にそうなのか? とういうことで紹介しているものです.統計的な処理で推計しているもので,確かなエビデンスに基づいたものではない,など言及していますが,もしこれが本当ならまさに“Good News”となります.血糖コントロールとともにACE阻害薬やARBを中心とした降圧治療を厳格にし,低蛋白食を組み合わせる,スタチンを適宜併用する,という糖尿病性腎症に対する治療の有効性は70年代後半から幾多の報告で示されていましたが,ようやく目標とする末期腎不全の減少徴候が現れてきたと希望的に解釈したいものです.日本でも2007年の日本糖尿病学会では腎症のremissionが広く話題になってきており,現時点で透析学会のデータではまだ糖尿病性腎症による透析導入が減っているとは言い難いものの(糖尿病患者数当たりに換算したようなデータは日本では公表されていないので単純な議論はできませんが),近い将来日本でも“Good News”が報告されることを祈っています.
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