発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010305932
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64歳男。眼科治療入院時の検査で前縦隔腫瘍を認め、当科受診にてIgGの低下を認め、低ガンマグロブリン血症と診断して経過観察していた。口腔内に白斑、左頸部胸骨下に約4cm大の平滑な腫瘤を認め、軽度貧血、低蛋白血症、低アルブミン血症、低ガンマグロブリン血症、フェリチンとCRPの高値、サイトメガロウイルス感染症、β-Dグルカン陽性を認めた。CD4とCD20の低値、CD8高値、CD4/CD8比の低値を認め、骨髄に異常はなく、表面マーカーはB細胞系が著しく減少していた。胸部CTで認めた上~中肺野のガラス状の陰影はサイトメガロウイルス肺炎と診断し、胸骨下左に認めた約4cmの胸腺腫はMRIでも同様に認めたがPETでは淡い取り込みであった。サイトメガロウイルス肺炎と口腔内カンジダ症には、ガンシクロビル、ミカファンギン、グロブリン製剤を投与し、2ヵ月後に胸腺腫切除術を施行した。病理所見で、striform pattern cyst形成を伴うType Aとリンパ球成分の多いType Bが同程度に混在しthymoma(Type AB)と診断した。ガンマグロブリン製剤5000mgを3週間おきに投与して、血中IgG 400mg/dlを維持し、感染症の再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010