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2013年11月15,16日に,International TIA/ACVS Conferenceが東京女子医科大学神経内科内山真一郎主任教授のもと,Tokyo Station Conferenceにて開催された.この学会は,transient ischemic attack(TIA)や軽症脳梗塞患者を追跡する国際多施設共同登録調査(日本を含む世界20カ国)「TIA registry. org」の一連の学会で,本共同研究の責任者であるDr. Pierre Amarenco(SOS-TIA Clinic, Bichat Stroke Center, Paris, France)が副会長を務めた.本共同研究はウェブ登録に基づく医師主導型の前向き観察研究で,発症後7日以内のTIA,またはmodified Rankin Scale 0または1の軽症虚血性脳卒中を対象とし,アテローム血栓性事象(主要評価項目は,心血管死,非致死的脳卒中,非致死的心筋梗塞の発症)の発症率を短期的・長期的に評価する.追跡期間は5年間で5,000症例を目標とする.今回の国際学会では本共同研究の運営委員をguest speakerとしていた.
本国際学会には,世界12カ国から約200人が参加し,lecture 2演題,seminar 7演題,symposium 21演題,poster 107演題の発表があった.Symposiumは,TIAや急性脳血管症候群(acute cerebrovascular syndrome:ACVS)の定義・メカニズム,疫学,画像を含む診断,予防などについて発表され,活発な議論が行われた.TIA発症後に多くの症例が48時間以内などの早期に脳梗塞に移行する危険性があり,TIAは救急疾患として対処すべきであるとのことから,ACVSという新たなコンセプトが提唱されている.これは,心疾患でいう急性冠動脈症候群(acute coronary syndrome:ACS)に相当する.TIAは無治療で放置しても短時間で症状が消失するため,患者さん本人やときには一般医にさえ軽視されやすい.しかし,TIA発症早期の脳卒中リスクは従来考えられていたよりも高いことが知られるようになっている.よって早期評価とリスクの層別化,およびそれらに基づく速やかな治療開始が重要である.上記TIA registry. orgもこれらの課題を解決し,TIA診療の実態を明らかにすることが目的で開始され,本国際学会でも活発に議論された.
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