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Ⅰ.経験症例
1.症例1
現病歴 71歳女性.1994年に椎骨動脈瘤の破裂によるくも膜下出血にてclippingを施行した.経過は良好であったが,2010年夏頃より進行性の右不全麻痺,構音障害,嚥下障害が出現した.精査の結果,延髄を圧迫する血栓化巨大椎骨動脈瘤を認めたため(Fig.1),治療目的に当院当科を紹介受診した.
高精細融合3次元画像による術前シミュレーション MRI,MRA,CT,脳血管撮影のデータから高精細融合3次元画像(3DCG)を作製した(Fig.2A, B).3DCG上で左椎骨動脈-後下小脳動脈分岐部(VA-PICA)に約25mmの血栓化動脈瘤を認めた.動脈瘤はbroad neckで,一部PICAにも及んでおり,単純なneck clippingは困難であると判断した.また入院時,既に高度な球麻痺を認めたこと,延髄への圧迫が高度であること,再発症例で高度な癒着が予想されたこと,前脊髄動脈(ASA)が健側VAから分岐していることなどから,治療法としてはtrapping+PICAへの血行再建ではなく,VA proximal clipping+PICA proximal clipping+PICAへの血行再建を選択した.血行再建に際しては,前回の手術で後頭動脈(OA)は消失しており,OA-PICAによる血行再建術は不可能であった.そこで左右のPICA間で吻合術を考慮したが,右PICAのvermian branchは左PICAのvermian branchから分岐しており(Fig.2B),また左tonsilohemispheric branchと右PICAの間が離れていることから(Fig.2B)左右PICA間での吻合は困難であると判断した.そこで橈骨動脈によるグラフト(radial artery graft:RAG)を用いてV3-PICA吻合術+VAとPICAのproximal clippingを予定した.
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