コラム:医事法の扉
第54回 「頭部外傷」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1国家公務員共済組合連合会立川病院脳神経外科
pp.960
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101274
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頭部外傷は,特に急性期診療における画像検査,読影・結果説明,指導内容,経過観察,そして手術に関する説明についてそれぞれ問題となります.
まず交通事故で頭部を打撲した6歳の男児に対し,頭部単純X線のみを施行し,「何か変わったことがあれば来院するように」などの一般的指示をしただけで帰宅させ,その夜,急性硬膜外血腫で死亡したケースがあります.最高裁は「療養指導義務」(医師法23条参照)について,「症状を具体的に説明し,事故後少なくとも6時間以上は慎重な経過観察と,前記症状の疑いが発見されたときには直ちに医師の診察を受ける必要があること等を教示,指導すべき義務」があると判示しています(平成13年3月13日判決)1).
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