コラム:医事法の扉
第55回 「顔面痙攣・三叉神経痛」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
2
1国家公務員共済組合連合会立川病院脳神経外科
2慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.1068
発行日 2010年11月10日
Published Date 2010/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101291
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顔面痙攣・三叉神経痛の根治術として,microvascular decompression(MVD)が行われます.顔面痙攣の場合,通常,顔面神経のroot exit zoneにおける除圧ないし減圧により,痙攣の消失を図ります.まず,乳様突起下端近傍の開頭が必要であることから,太い導出静脈やS状静脈洞などの損傷による出血と,乳突蜂巣の開放による術後の髄液漏に注意しなければなりません.そして,小脳のretractを最小限とし,下位脳神経症状,小脳症状,耳鳴,聴力障害,顔面神経麻痺などの各神経障害をできる限り回避するように注意が必要です.術野が深く,細かなテクニックが要求されるデリケートな手術の1つといえるでしょう.同様に,三叉神経痛の場合も,三叉神経に対する圧迫の除圧ないし減圧により,痛みの消失を図ります.開頭部位は,顔面痙攣のときよりも上方なので,上錐体静脈や周辺の静脈洞,橋静脈などの損傷による出血に注意が必要です.
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