コラム:医事法の扉
第49回 「医業類似行為」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
2
1国家公務員共済組合連合会立川病院脳神経外科
2慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.489
発行日 2010年5月10日
Published Date 2010/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101175
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「医業」とは,人の疾病の診察,治療などの医行為を業(対価を得る目的で継続的・反復的に行う行為)とすることをいいます.医師でなければ行うことができず(医師法17条),医師でない者が行うと「3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金」に処せられます(同31条1項1号).ただ,そこに明確な定義規定はなく,ある行為が医業ないし医行為に該当するかどうかは,社会的通念で決められています.
一方,あん摩,マッサージ,指圧,はり,灸,柔道整復などを総称して医業類似行為といいます.医業とは本来区別されるべきものですが,実際には医業との境界が微妙なケースもあり,上記医師法違反との関係でしばしば裁判で問題となります.近年,柔道整復師による健康保険不正請求事件が国会や医学会でも取り上げられましたが,その背景には患者が本来医業のみの対象となる疾病であることを理解できず,保険適応のある接骨院などを受診し医業類似行為に頼ってしまうという事情があるでしょう.われわれ医師も,患者から相談された場合には,この点を見極める必要があります.
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