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私は,慶應義塾大学病院および関連病院にて初期研修,レジデント(脳神経外科)終了後,2004年に専門医を取得し,2005年より約3年間,静岡市立清水病院(脳神経外科)に勤務いたしました.そして現在は,河瀬斌名誉教授(慶應義塾大学脳神経外科)のご高配により,2008年5月より,米国マサチューセッツ州ボストンにあるマサチューセッツ総合病院(MGH:Massachusetts General Hospital)脳神経外科に研究留学させていただいています.
ボストン中心部に位置するMGHは米国で3番目に古い総合病院で,New England地方では,最大・最古であり,医療・研究レベルの高さは長い間全米トップクラスであり続けています.院内に約900床ある入院床のうち,脳神経外科および関連領域の占める割合はおよそ10%となっています.対象疾患は,脳腫瘍,脳血管障害,外傷,変性疾患,脊椎・脊髄など多岐にわたり,バランスが取れている印象です.Neuro-ICUには17床の脳神経外科患者専用ベッドがあり,年間約2,600件の手術が行われています.脳腫瘍の患者さんに対しては,脳神経外科,神経腫瘍科(neuro-oncologist),神経放射線科(neuro-radiologist)など各科の共同は密であり,この点,(日本よりも)専門化・分業化が進んでいる印象を持っています.研究面では関連科も含めると,脳腫瘍,再生,虚血,神経生理,機能・モニタリング,など多くの研究室が存在し,数多くの留学生(MD,PhD問わず)を受け入れています(東京医科歯科大学,日本大学からも脳神経外科医が留学されています).MGHに限らずおおむねの施設で,研究の占める重要性が日本に比べ非常に高いと実感しています.
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