書評
『脳腫瘍臨床病理カラーアトラス 第3版』―日本脳腫瘍病理学会●編,河本 圭司,吉田 純,中里 洋一●編集委員
長村 義之
1
1東海大・病理診断学
pp.1093
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101052
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
この本を開いてみて,まず感銘をうけるのは,①多くの脳腫瘍を網羅しながらの理路整然とした組み立て,②規則正しく簡潔かつ十二分な各腫瘍についての記述,③タイトルにふさわしい美麗かつ的確なカラー図である.本書には,一貫して編集者の哲学が感じられるのが素晴らしい.本書の内容は,総論と各論により構成されている.
総論は,(1)歴史,(2)組織分類,(3)発生の分子メカニズム,(4)分子遺伝学と,脳腫瘍の“温故知新”が簡潔にまとめられており,興味深くまた大いに参考になる.特に「脳腫瘍の組織分類」ではWHO分類2007の表にはすべての腫瘍名が網羅されており,中枢神経系腫瘍のWHO gradeでも,表が見やすくgradingが可能となるように配慮されている.「脳腫瘍発生の分子メカニズム」「Astrocytoma,oligodendrogliomaの分子遺伝学」ではこの領域でのアップデートされた最新情報が記載されている.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.