書評
『イラストレイテッド脳腫瘍外科学』―河本 圭司,本郷 一博,栗栖 薫●編
堀 智勝
1,2
1女子医大
2森山記念病院
pp.680
発行日 2011年7月10日
Published Date 2011/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101477
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『イラストレイテッド脳腫瘍外科学』が,このたび河本圭司・本郷一博・栗栖薫の3先生によって共同で編集され,上梓された.本書は「A.術前」「B.術中」「C.脳腫瘍の手術」「D.その他の治療法」の章に分かれている.特に手術の項目ではわが国のトップの先生方に分担執筆していただいており,それぞれ非常にコンパクトではあるが,力作ぞろいの,濃い執筆内容になっている.専門医試験の受験者にとって,非常にためになる本であるといえよう.
「A.術前」の章では,脳腫瘍外科の歴史,分類と発生頻度,画像診断が述べられている.歴史と分類は河本先生,発生頻度は渋井壮一郎先生,画像診断は藤井幸彦先生,画像鑑別診断は泉山仁先生,宮武伸一先生がそれぞれ執筆を担当されており,非常にわかりやすい.特に宮武先生のグリオーマ再発,放射線壊死,pseudoprogressionの項は,先生ご自身の最新の臨床経験に基づいた力作であり,一読に値する.私の患者さんで右帯状回を含んだ悪性グリオーマの部分摘出術後,宮武先生にBNCTを行っていただき,完治?している患者さんの結婚式に招かれた経験などを読んでいて思い出した.そのほかにも悪性髄膜腫などの難治例にもBNCTが効果ありと聞いているが,帝京大の故・畠中坦教授が精力的に行っていた治療法を,より最新のモダリティを使用して完成度の高い治療法に仕立て上げた情熱に敬意を払いたい.
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