コラム:医事法の扉
第43回「個人情報保護法と情報公開法」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.1150
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101061
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「個人情報の保護に関する法律」(いわゆる個人情報保護法)は,プライバシー権などの個人の権利利益の保護を目的とした法律です.「個人情報」は,「生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)」と定義されています(2条1項).また,診療に関しては,厚生労働省のガイドライン(平成16年)によれば死者の情報も含むとされ,日本医師会の「診療に関する個人情報の取扱い指針」には,患者の氏名,生年月日はもちろん,既往歴,診療の内容,受けた処置の内容,検査結果,医師の診断・判断なども「個人情報」とされています.IDも,上記定義の括弧書きにあたると思われます.事業者たる医療機関は,情報の漏出などを防ぐように安全管理措置・監督義務を負います(20条,21条).
一方,いわゆる情報公開法(「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」と「独立行政法人などの保有する情報の公開に関する法律」)は,国民主権のもと,行政運営の公開性と政府の説明責任の確保を目的として定められ,明記こそされていませんが,「知る権利」という表現の自由(憲法21条1項)を情報の受け手側からみた権利を保護するためのものと解されています.誰でも情報の開示請求ができますが(情報公開法3条),個人情報は,原則,不開示とされています(5条1号).
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