コラム:医事法の扉
第28回 「公務員の特殊性」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.740
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100788
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国公立大学の付属病院や公立病院に勤務する医師は「公務員」(国家公務員,地方公務員)にあたり,私立大学病院や個人病院に勤務する医師は,公務員ではありません.公務員か非公務員かによって,どのような違いがあるのでしょうか.
公務員は,憲法によってその存在と制度が保障されており,「すべて公務員は,全体の奉仕者」(15条2項),「官吏に関する事務」(73条4号),「…公務員は,この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」(99条)などの規定があります.また,「何人も,公務員の不法行為により,損害を受けたときは,法律の定めるところにより,国又は公共団体に,その賠償を求めることができる」(17条)とされ,この規定を根拠に,国家賠償法1条が制定されています.これらの規定は,そもそも憲法が国民を国家活動による権利侵害から擁護するために定められたものですから,国家活動の担い手たる公務員を規律するものとしてしかるべき規定であろうと考えられます.
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