包括医療の問題点
1.DPCの概要と平成18年度改訂の骨子
神服 尚之
1
1日本大学医学部脳神経外科
1Department of Neurological Surgery,Nihon University School of Medicine
pp.1168-1175
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100309
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平成14年の診療報酬改訂で決定した特定機能病院(82施設)へのDPC(Diagnosis Procedure Combination)適用は,平成15年7月から本格的に稼働し始めた.その後,DPCは,試行的適用施設あるいは調査協力施設の形で民間病院に拡大しつつある.そして2006年診療報酬改訂において最後に議論されたのがDPCの拡大である.結論としては十分な検証を行うことを前提に拡大方向となった.今後,これが急性期医療全体に本格的に導入されることは避けられず,医療現場に大きな改革をもたらすことが予想される.
DPC本体については,現在様々な評価がある.本来,DRG/PPS(Diagnosis Related Groups/Prospective Payment System)は疾患別・包括払い制度であり,アメリカで開発された後,オーストラリアやカナダさらに韓国など多くの国の医療費支払制度に利用されている.日本においても包括払い制度が検討され,開発されたものがDPCである.しかし,この2者には差異を認める.まず,①DRG/PPSが1入院単位であるのに対し,DPCは日額定額制であること,また,②疾患別コストから報酬額を決めるのが基本であるはずが,現行は前年度当該病院の医療費で病院別係数が決定されること,などである.
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