- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■DPC実施病院は,経営的に優遇されているか
平成16年の3月に筆者は,カレスアライアンスの西村昭男理事長や赤穂中央病院の古城資久理事長らとDPC試行病院協議会を立ち上げたが,その頃の病院関係者から最も頻繁に投げかけられた質問は,「DPC とは,どんなものですか?」であった.それから1年後の平成17年3月に筆者は『DPC 実践テキスト』(じほう)を出版したが,その頃には多くの人がDPCの存在を知るようになり,最も尋ねられた質問の内容が,「DPCは,本当にこのまま推進されるのでしょうか?」に変わった.平成18年の3月頃になると多くの人が,“DPC≒急性期医療を担う病院の必須条件” と考えるようになり,「DPCに移行したほうがよいですか?」や「DPCになったほうが,経営的に有利ですか?」という質問が,頻繁に投げかけられるようになった.わずか2年で,医療界の人々のDPCに対する認識が急速に変わった.今回の小論の目的は,平成18年度の診療報酬改定におけるDPCの扱いを検討し,最近よく尋ねられる「DPCになったほうが,経営的に有利ですか?」という質問に筆者なりの回答を読者の皆さんに示すことにある.
まず結論から述べると,平成18年度の改定においてDPCにより診療報酬額が支払われる病院(以下DPC病院と略す)の多くは,DPCによる支払いを受けなかった一般病床と比べ,“優遇された” と言える.DPCにより支払いを受けるようになると,①入院基本料,②検査,③画像診断,④投薬,⑤注射,⑥処置(1,000点以内),⑦リハ等で使用した薬剤が包括払いになり,手術や麻酔などを含むその他の項目は,従来どおり出来高で支払われる.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.