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日本の西洋医学教育は,明治時代の医学校の開設以来,第二次世界大戦後の学制改革を経て,平成16年の国立大学の統合・法人化,非入局新臨床研修制度の導入により3回目の大改革に着手した.最近の大学入試選抜方式の多様化により,様々な経歴の医学生が誕生している.現在,多くの大学では,大学入試センター試験後の一般選抜,推薦入学,学士編入などが取り入れられている.善きにつけ,悪しきにつけ,私が40年以上前に入学したクラスの雰囲気とは,隔世の感がある.多くの大学の医学部入学生は多浪者,社会生活を経た年配者,女子学生が多くなり,高校新卒者は1~2割程度である.このクラス編成から想像するに,現在の医学生とともに語らい,教育するには,教官側として,相当の心の準備と覚悟が必要であろう.
国家試験の出題範囲から臨床医学教育全般を見渡せば,脳神経外科に関連する神経・筋疾患,循環器疾患,救急疾患,内分泌疾患などはほぼ10%位である.この現実から,国家試験合格のためには,医学生には脳神経外科を相当必死に習得してもらわなければならない.当然,教官側にも効率の良い教育方法の努力が強いられる.最近はコア・カリキュラムの編成,Tutorial Systemの導入などで医学教育をより充実させようとする改革が進んでいる.また,試験制度にも多くの工夫が導入され,CBT(Computer Based Test),OSCE(Objective Structured Clinical Examination=客観的臨床能力試験)が行われている.CBTは平成18年度より全国一斉テストとなり,BST(Bed Side Teaching)のための臨床基礎知識習得の目安となる.臨床各科は,このテストの出題基準と傾向で全国的なカリキュラム内容の標準化と充実が図れるだろう.また,OSCEの内容を充実させ,採点を厳格にすればBST実技入門の判定基準となる.
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