Japanese
English
特集 脳のシンポジウム
主題:姿勢と姿勢異常
小脳の役割
Role of the Cerebellum
伊藤 正男
1
Masao Ito
1
1東京大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, School of Medicine, University of Tokyo
pp.471-476
発行日 1967年10月25日
Published Date 1967/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906407
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I.緒言
姿勢調節に小脳が大きな役割を果たしていることは以前からよく知られていた。小脳前葉を除去したときにα型の固縮がおこることや,中脳切断によつておこしたγ型の固縮が小脳前葉の刺激により消失するなどの実験事実は小脳による筋張力の調節作用を端的に示すものと考えられてきた。一方この数年来小脳に関する生理学的な知見は飛躍的に増大した。これはおもに微小電極法を駆使した精密な生理実験の成果であつて,小脳への入力系,小脳皮質,小脳遠心系の各段階にわたつてニユーロン機構の詳細がそうとうの程度にまで判明してきている。もつともこれら最近の知見は小脳機構の原理的な面を明らかにしたもので,これを姿勢という具体的な問題と結びつけて詳細に論ずるにいたるまでにはまだまだ時日を要するものと思われる。本稿では,このような研究の現状を心にとめながら,姿勢に対する小脳の調節作用の基本的な面を論じてみよう。
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