Japanese
English
特集 脳のシンポジウム
主題:姿勢と姿勢異常
除脳と除皮質
Decerebration and Decortication
藤森 聞一
1
Bunichi Fujimori
1
1北海道大学医学部第二生理学教室
12nd Department of Physiology, School of Medecine, Hokkaido University
pp.465-470
発行日 1967年10月25日
Published Date 1967/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906406
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
除脳decerebrationと除皮質decortication(生理学用語では去脳と去皮質といわれる)は,前世紀末からとりあげられていまだに論争の絶えない古くて新しい問題である。とくに今度の主題の「姿勢と姿勢異常」というようなシンポジウムには欠かせない項目とみなされるが,これをまともに取り上げるように注文されると,日本の神経生理学者はおそらくだれでも困惑を感じられるものとおもわれる。というのは,これらは私どもが日常経験している実験処置ではあるが,私どもの主対象はイヌ,ネコである。ところが,この方面の主流の研究は1930年代のFultonの業績以来サルについて行なわれ,さらに最近脳神経外科の領域においては,ヒトについて大脳半球切除術にいたる相当おもいきつた脳の手術が実施され,貴重な資料が積み重ねられているからである。
しかし,この難題を課せられた機会に,手近にある比較的最近の報告をとりあげ,とくに問題の多い除皮質のばあいを例にとつてみると,報告者の成績の間にかなりの相違と,その意味づけについても意見の食い違いがあるようである。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.