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視野の広い部分が突然動き始めると,眼はそれを追いかけるように短潜時で動き出す。この眼の動きを追従眼球運動と呼ぶ。これまでのサルを用いた電気生理学的な研究から,大脳MST野,背外側橋核,小脳腹側傍片葉を含む経路が,追従眼球運動の発現に関与していることが示唆されている。そこで,この三つの領域の単一ニューロンの発火パターンがどのように感覚情報や運動情報を時間的にコードしているかについて解析した。MST野,背外側橋核のニューロン活動は入力信号である「網膜上の像のブレ」の位置,速度,加速度の線形和で表現でき,領域全体としては全方向に動く視覚刺激の感覚情報をコードできる可能性を持っていた。また,小脳腹側傍片葉のプルキンエ細胞は垂直系か水平系に明確に分かれ,それぞれ単純スパイクと複雑スパイクの発火パターンは鏡像関係にあった。その単純スパイクは,出力信号である「眼球運動」の位置,速度,加速度の線形和で表現でき,最終的な運動指令の加速度,速度成分というダイナミックな成分をコードしていた。以上の結果から,MST野では視野の動きが検出され,その発火パターンが感覚情報をコードし,「網膜上の像のブレ」の情報が背外側橋核を通って,小脳腹側傍片葉のプルキンエ細胞上で収束し,眼球を動かすのに必要な運動指令へと変換されている可能性が示唆される。
Sudden movements of a visual scene evoke ocular following responses (OFR) at ultra-short latencies (―50 ms). Evidences from single-unit recordings and focal chemical lesions have suggested that early OFR are mediated by a pathway that includes the medial superior temporal (MST) area of the cortex, the dorsolateral pontine nucleus (DLPN), and the ventral parafloccular (VPFL) lobes of the cerebellum. We recorded the activity of single neurons in the MST, DLPN, and VPFL of alert monkeys during the OFR elicited by sudden movements of a large-field pattern.
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