Japanese
English
講座 運動学習とリハビリテーション 3
運動学習における小脳の役割
Role of the cerebellum in motor learning.
今水 寛
1
Hiroshi Imamizu
1
1ATR脳情報研究所
1Computational Neuroscience Laboratories, Advanced Telecommunications Research Institute International
キーワード:
内部モデル
,
fMRI(機能的磁気共鳴画像)
,
道具使用
Keyword:
内部モデル
,
fMRI(機能的磁気共鳴画像)
,
道具使用
pp.859-865
発行日 2004年9月10日
Published Date 2004/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100700
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
人間はたくさんの道具を使い,便利な生活を送っている.道具のなかには,はしやはさみのように,始めは使いこなすのに苦労するが,繰り返し練習することで自分のからだの一部のように自在に使えるようになるものがある.このような,道具を使う「わざ」を修得するとき,小脳と呼ばれる神経機構が重要な役割を果たしているのではないかと言われてきた.
筆者らは,このような道具の使い方を練習しているときの,人間の小脳活動を計測した.練習を始めたばかりの時は,人間が道具の使い方に不慣れなため,あやまち(誤差)が頻繁に生じる.小脳の大部分では,この誤差と正確に比例して脳の活動が上昇し,小脳に誤差の情報が正確に伝えられている様子が,まず明らかになった.さらに練習を続けると,小脳の一部分で誤差とは無関係に活動が上昇する部分があることがわかった.この結果は,からだで覚えた「わざ」の記憶が小脳に蓄積され,その記憶は誤差の情報で修正されるという理論を,人間の脳の働きを計測することにより実証したという意味がある.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.