Japanese
English
特集 神経疾患の疫学像とその変貌
染色体異常の疫学
Epidemiological review on chromosome abnormalities.
家島 厚
1
,
竹下 研三
2
Atsushi IESHIMA
1
,
Kenzo TAKESHITA
2
1鳥取県立皆生小児療育センター
2鳥取大学医学部脳研神経小児科
1Division of Child Neurology, Tottori Prefectural Kaike Rehabilitation Center for Disabled Children
2Division of Child Neurology, Institute of Neurological Sciences, Tottori University School of Medicine
pp.815-822
発行日 1989年10月10日
Published Date 1989/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906334
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
細胞遺伝学の進歩にともない,原因不明の精神遅滞,奇形症候群の原因の一部が染色体異常であることが解明されてきた。1960年代は,染色体分染法が普及する前であり,Down症候群や18トリソミーなどの古典的染色体異常の時代といえる。一方,1970年代は,染色体分染法の導入にともない,部分トリソミー,部分モノソミーが発見された時代で,1番から22番のすべての染色体異常が出揃った。原因不明の精神遅滞をみたら,染色体異常を疑う必要があるくらい,染色体異常は一般化した。
1980年代になって細胞遺伝学で注目されたのは,脆弱X染色体についての研究である。X連鎖性精神遅滞の中に,X染色体のXq 27部位の脆弱部位をもったものが発見され,脆弱X症候群として確立された。また高精度分染法というより細かい異常の検索により,従来遺伝病と考えられていた症候群の中から微小な染色体異常が発見され,遺伝子病と染色体異常の接点を模索する研究が進展した。従来遺伝病と考えられていたPrader-Willi症候群,Beckwith-Wiedemann症候群などのなかに染色体異常によるものが発見された。表1に高精度分染法によって染色体異常とわかった奇形症候群を示す。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.