シリーズ・先天性遺伝性疾患の診断に役だつ検査・11
染色体異常症
家島 厚
1
Atsushi IESHIMA
1
1鳥取大学医学部付属脳幹性疾患研究施設神経小児科
pp.1679-1686
発行日 1985年11月15日
Published Date 1985/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912807
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はじめに
細胞遺伝学の進歩により,次々と新しい染色体異常症が発見されてきた.とりわけ,1970年代の染色体分染法の導入により,部分トリソミー,部分モノソミーの報告が爆発的に増え,いまやすべての染色体の異常が知られるに至っている.そして,染色体検査が,一部の専門的機関あるいは研究所で行われていた時期から,染色体検査を行う医療機関,商業ベースの検査施設が増えるにつれ,日本中どこでも染色体検査ができる時期へと変貌してきている.染色体検査は,いまやルチーン検査として定着しつつある.また,染色体分染法(主にGバンド)もルチーン化し,さらに,高精度分染法,二重分染法,脆弱X染色体検査法など新しい検査法も開発されてきている.そのために生じてきた問題点を列記すると,①染色体検査の普及のスピードに,一般の医師がついていけず,検査のやりっぱなしになりやすく,患者およびその家族に適切な説明,指導がなされていないこと,②染色体検査の適応が広くなり,依頼検体数が増え,どこまでどんな検査をすればいいのか困ること,③まだ検査室間で染色体検査の手技にバラツキがあること,などが挙げられる.
今まで染色体検査についての解説は繰り返しなされているので1〜4),本稿では,先天異常に関連した染色体検査に焦点を絞り,一般の検査室で必要と思われる検査を中心に述べたい.
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