Japanese
English
特集 精神薄弱
染色体異常
Chromosome Anomalies in Mental Retardation
坪井 孝幸
1
,
浅香 昭雄
1
Takayuki Tsuboi
1
,
Akio Asaka
1
1東京大学医学部脳研究所
1Institute of Brain Research, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.83-96
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904484
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I.まえがき
19世紀の後半に始つたヒトの染色体の研究は,1956年にいたつてひとつの転換期を迎えた。この年TjioとLevanは,ヒトの胎児の肺組織を培養して染色体の数は46であることを確定し,それまでのヒトの染色体数についての諭争に終止符をうつた。これは組織培養法と標本作製法の飛躍的改良進歩に負うところが多い。3年を経た1959年にLejeuneらは,すでに1866年Langdon-Downによつて精神薄弱の特殊型のひとつとして記載されていたDown症候群が,正常より染色体数の1コ多い47コをもつことを明らかにした。これ以後,染色体異常の研究にはいちだんと拍車がかかり,種々の染色体異常の疾患単位が発見されていた。1960年に定められたDenver方式によればばヒトの染色体は22対(NO.1〜22)の常染色体とXY(男子),XX(女子)の性染色体より構成される。染色体異常には不分離,欠損,転座,逆位,モザイク等の様式が考えられるが,ここでは,とくに精神薄弱との関連において常染色体,性染色体の数的異常と構造異常について述べることとする。
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