Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
末梢の神経系は,体性神経系(運動神経および知覚神経)と自律神経系とに大別される。Langleyは,自律神経系を横紋筋以外の身体組織に遠心性の情報を伝達する神経系と定義した45)。このため,古い概念では,自律神経系は末梢性に信号を伝える神経と考えられたが,近年の内臓知覚に関する研究などより,自律神経には遠心性線維だけでなく,求心性線維も含まれていることが明らかとなってきた。さらに数多くの生理活性神経ペプチドneuropeptideの発見35,53)と,その組織学的・生理学的研究により,自律神経系の伝達はacetylcholine(ACh)やnoradrenaline(NA)といった古典的神経伝達物質classical neurotransmitterだけでは説明できないことも示唆された6,14)。
本稿では,複雑かつ微妙にコントロールされていることが明らかになりつつある末梢自律神経系の伝達機構を,神経伝達物質のレベルから紹介する。なお,神経伝達物質としてまだ確立されていないもの,むしろ伝達物質というよりは遊離を修飾するのが主作用なものneuromodulatorなども多々あるが,本稿では"神経伝達物質"として統一的に記述した。
There have been remarkable discoveries about the autonomic nervous system and autonomic neuroeffector transmission over the past decade that modify and extend some of the classical concepts summarized by Langley in 1921. The new findings are accumulating regarding the presence of many neurotransmitters in addition to classical ones and the nature of neuronal and neuroeffector signal communications.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.