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特集 第8回「脳のシンポジウム」
主題:神経伝達物質研究の進歩
自律神経—平滑筋の伝達物質
Chemical transmitters in autonomic nerve-smooth muscle preparations
栗山 煕
1
Hirosi KURIYAMA
1
1九州大学歯学部生理学教室
1Department of Physiology, Faculty of Dentistry, Kyushu University
pp.52-63
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903472
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Ⅰ.いとぐち
自律神経系の研究は1664年Willisに始まり今日まで精力的に続けられ,その間に数限りない知見が報告されてきた。自律神経系は体性神経系とは独立に生物系におけるhomeostasis—恒常性—に関与する神経系として存在し,その重要性については充分に認知されながらもその機能の複雑さから充分に理解されたものとはいえなかった。しかし,先人の努力により自律神経系の大分類としての交感神経ならびに副交感神経系の奏効器に対する拮抗作用ならびに協調作用については多くの知見が集められていた。
近年自然科学における研究法の著しい進歩は自律神経系の研究法をも一変するかのように大きな変化をもたらし,その知見も先人の業績を基盤として大きく前進した。たとえば,自律神経系における化学伝達物質の局在,合成,放出,再吸収,分解,奏効器への効果が種々の技術を用いて研究された。その結果神経系の分類が従来の解剖学的な分類91)や機能的な分類45)をこえてさらに複雑なものになって来つつある。
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