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Parkinson病は脳内黒質・線条体ドーパミンニューロンの変性・消失がその主病変で,L-DOPAの投与が有効であるといわれてきた。しかしL-DOPA長期投与症例が増加するにつれ,効果の減退・on-off現象・dyskinesiaなど2,3,24)が出現し,L-DOPAに代わる新しい治療法の確立が望まれている。その一つとして神経組織の脳内移植が注目されている。donorとしては胎児黒質が使用されているが,ヒト胎児脳をどこからどのようにして入手し,なおかつ生きた状態で胎児脳を成人脳内に移植できるか,倫理的に大いに問題である。さらにnon-selfとしての胎児脳に対する拒絶反応の問題があり,必ずしも最良の方法とはいいがたい。これに代わる方法として自家組織を脳内移植する方法がある。自家組織としては副腎髄質が使用され,ヒトParkinson病に現在まで少なくとも14例の臨床報告がある1,19〜22)。しかし人体内の最も重要な器官である副腎を摘除するため手術死亡例があり22),また効果も一部の報告を除いて21)十分でないとされている1,19)。われわれは移植すべき自家組織として交感神経節を用いて実験的に検討し,良好な結果を得ている12〜15)。上頸交感神経節には,ノルアドレナリン含有細胞のほかにドーパミン含有細胞が存在する13)ため,これらカテコラミン細胞を脳内自家移植し,Parkinson病に対する新しい治療法の可能性を検討した。
Peripheral sympathetic and parasympathetic ganglia were transplanted to supplement catecholamine and acetylcholine in the brain with Parkinson and Alzheimer diseases, respectively.
1. Transplantation of the superior cervical ganglion into the caudate nucleus of MPTP-induced parkinsonism monkey.
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