Japanese
English
特集 視床—基礎と臨床
視床VL核の入出力
Input-output organization of the ventrolateral nucleus of the thalamus.
篠田 義一
1
Yoshikazu SHINODA
1
1東京医科歯科大学医学部第一生理学教室
1Department of Physiology, School of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.398-410
発行日 1988年6月10日
Published Date 1988/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906195
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はじめに
大脳基底核と小脳からの出力は,視床VL核の共通部位を介して大脳運動野に至ると,最近まで考えられていた(KempとPowell,1971)。電気生理学的方法を用いた研究によって,基底核からの入力と小脳からの入力が視床内で別々の部位に投射しており,単一細胞への収束がないこと(Uno,OzawaとYoshida,1978;Yamamotoら,1983)が明らかにされた。その後,新しい解剖学的手法を用いた研究により,このことが確認された(Asanuma,ThachとJornes,1983 a,b)。基底核からの出力は,主に視床VA核・VL核の前部に投射し,小脳からの出力は,主にVL核の後部に投射するということができる(Asanumaら,1983 a,b;Hendryら,1979;SchellとStrick,1983;Sugimotoら,1981)。
基底核と小脳入力の視床内分布について得られた上記の動物実験の結果は,ヒトについても成り立つ。パーキンソン病の2大症状である振戦と固縮の治療に脳定位手術が施行される。パーキンソン病の振戦のみならず,小脳核あるいはその出力系の病変によって起こる振戦は,視床VL核の後部と後核群の境の部位の破壊で消失する。ヒト視床のこの部位は,HasslerによってVim核と呼ばれているところに相当し,小脳歯状核からの入力が濃密なところである。
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