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グリオーマ細胞には増殖因子や各種ホルモンに対する膜受容体(レセプター)が存在する3,20,21,24,31)。膜受容体の分布と機能に対する研究は,生体内での正常グリアやグリオーマ細胞がどのような要因により代謝,分泌,増殖の制御を受けるかを知るうえで重要である。同じ生体内活性物質に対して,細胞の種類により細胞応答が異なることが知られている。グリアに固有な応答系が得られれば,神経系におけるグリアの機能的役割の基礎的情報が得られる可能性がある。一般的に,膜受容体を介する活性物質は受容体蛋白に結合しリガンド・レセプター複合体を形成し,この複合体が二次的情報伝達機構をon-offの形でセットすることになる。直接,細胞内の酵素系にcofactorとして作用を示さないのが特徴である。そのため作用は受容体の量に規定される。受容体が飽和すると,細胞固有の応答はプラトーに達する。また活性物質が受容体蛋白に結合しても,二次伝達機構のactivationに至らない受容体(uncoupling receptor)が認められる。そのため細胞が受容体蛋白を有していても,細胞応答が量的に相関しない場合もある。とくにリガンドが高濃度で維持されると,二次伝達機構が抑制を受ける現象も知られている(desensitization)29)。
本稿ではグリオーマ細胞における,(I)β-アドレナリン受容体の存在,c-AMP dependent protein kinase,細胞応答としてのタウリンの放出,(II)増殖因子であるトランスフェリンに対する受容体蛋白の存在と細胞内カルシウムイオン濃度の変動,(III)インシュリンに対する受容体の存在と細胞応答,について最近得られた結果を概述する。
As a study of neuroglial cell function, we examined whether the membrane associated receptor molecules for β-adrenergic agonists, transferrine and insulin are functional in the cultured glioma cell lines.
3H-Dihydroalprenolol binding to β-adrenergic receptors was specific, saturable and of high affinity in each cell line. The Kd and Bmax extrapolated from Scatchard curves were Kd =17.4 ±3.2 nM and Bmax =1,110±197 fmol/mg protein for the U-251 cells; Kd =14.4±2.2 nM and Bmax =655±105 fmol/mg protein for the LM cells; and Kd =5.6±1.1 nM and Bmax =454±80 fmol/ mg protein for the C6 glioma cells.
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