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特集 腫瘍と糖鎖――糖鎖の基礎研究から腫瘍の分子標的同定に向けて
細胞膜受容体と糖鎖
Functional regulation of cell surface receptors by glycosylation
高橋 素子
1
Motoko TAKAHASHI
1
1札幌医科大学医学部医化学講座
キーワード:
細胞膜受容体
,
増殖因子受容体
,
上皮成長因子受容体(EGFR)
,
ErbB
,
MET
Keyword:
細胞膜受容体
,
増殖因子受容体
,
上皮成長因子受容体(EGFR)
,
ErbB
,
MET
pp.881-883
発行日 2022年5月28日
Published Date 2022/5/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28109881
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大部分の細胞膜受容体は糖鎖による機能制御を受けている.特に増殖因子受容体は分子標的薬の標的でもあり,糖鎖によるシグナル制御機構を明らかにすることは重要である.糖鎖の機能解析には部位特異的な解析と部位非特異的な解析がある.細胞膜受容体の糖鎖の部位特異的な解析では糖鎖付加率,糖鎖構造,糖鎖の生物学的機能を決定することができる.上皮成長因子受容体(EGFR)とErbB3の糖鎖の部位特異的解析では,特定の構造と機能が関係することが示された.肝細胞増殖因子(HGF)受容体(MET)の糖鎖は,その付加部位によって下流シグナルに及ぼす影響が異なること,すなわち糖鎖の機能は部位ごとに決まっていることが示唆された.異なる宿主細胞由来の受容体でも部位別の糖鎖付加率や構造には共通する特徴があることから,糖鎖付加率や構造を決定するメカニズムの存在が考えられる.部位特異的糖鎖解析は,糖鎖によるシグナル制御機構の解明のほか,糖鎖の生合成機構の解明にも寄与する可能性がある.
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