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I.はじめに
老年痴呆(アルツハイマー型老年痴呆,senile dementia of the Alzheimer type:SDATと略す)の患者の脳では,いわゆる脳の老人性変化と呼ばれる形態学的変化が高度に生じている。この構造上の変化は当然SDAT脳における蛋白の異常を子想させ,蛋白に関する研究が近年活発に行なわれるようになった。
SDAT脳の蛋白異常に関する研究の流れは,①脳蛋白の全体的な変化についての研究.②蛋白合成系の異常としてのDNA, RNA,染色体の変化についての研究,③神経原線維上変化の構成蛋白とそれに関連した脳蛋白の変化についての研究,④老人斑の核や血管周囲のアミロイド沈着についての研究,⑤病因論的立場からのSDATの感染因子(ブリオン)についての研究など,5つに大別される。他章で詳述されるはずの研究成果については重複を避け,本稿では③についての研究を中心として最近の知見を紹介したい。
Abstract
The amount of total protein of the normal aged brain does not show much difference from that of the young adult, while the amount of the total brain protein in Alzheimer's disease and senile dementia of the Alzheimer type (SDAT) was lower (20%) than that of the normal aged brain. The ratios of the water-soluble protein to the total protein in the demented brains are decreased to 60~50% of those of the control brains.
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