Japanese
English
特集 加齢に関する精神医学的な問題
老人の生化学
Biochemistry of Elderly Persons
播口 之朗
1
,
中村 祐
2
,
武田 雅俊
1
,
西村 健
1
Shiro HARIGUCHI
1
,
Yu NAKAMURA
2
,
Masatoshi TAKEDA
1
,
Tsuyoshi NISHIMURA
1
1大阪大学医学部精神医学
2日本生命済生会付属日生病院神経科精神科
1Department of Neuropsychiatry, Osaka University Medical School
2Department of Neuropsychiatry, Nissei Hospital
キーワード:
Ag (e) ing
,
Alzheimer's disease
,
Cytoskeleton
,
Lysosome
Keyword:
Ag (e) ing
,
Alzheimer's disease
,
Cytoskeleton
,
Lysosome
pp.127-133
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903393
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■はじめに
老年期には,意識障害,痴呆,うつ状態などの精神医学的症状が出現しやすく,とりわけ,痴呆が「加齢に関する精神医学的な問題」として注目されている。生理的老化において痴呆類似の精神状態や衰退現象がみられるが,これらの背景には身体的因子,心理・社会的因子,自然環境因子などの多元的因子が存在している。これらの因子が複雑に関与していることが老年期精神障害の特徴であるが,なかでも加齢に伴う身体的因子が最も重要な背景になっていると考えられる。基本的な身体的背景は生物学的老化の過程であり,生化学的知見により多くの老化のメカニズム(フリーラジカル説,遺伝子説,DNA複製エラー説,突然変異説,免疫異常説,有害物質蓄積説,ウイルス説など)が提唱されている。本稿においては主として脳の老化にっいて述べるが,脳の老化は全身の老化の1事象としてとらえる必要があると考えられる。
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