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松果体は円口類からヒトにいたるほとんどすべての脊椎動物にそなわっている器官であるが,その位置,形態および組織像は動物種によって著しく異なる。ヒトでは第三脳室の後部に位置しているが,ラットや鳥では大脳皮質と小脳の境界部で頭蓋骨の直下に存在する。さらに爬虫類以下の動物の多くのものでは,松果体の先端に副松果体(parapineal organ)がつらなっており,これが時には頭蓋骨を突き抜け皮下に達している。これが『第三の目』といわれているものである。
爬虫類以下の動物種の松果体では,網膜の錐状体細胞(cone cell)に似た細胞が主体をなしている。この細胞の外節は視細胞と同様,多数の重積した円板状の膜構造物から成り,ここに視物質が含まれ光を感受しているものと考えられる。これらの動物種の松果体は,光受容細胞,神経節細胞および神経線維によって構成され,光刺激に反応して神経電位が変化することも明らかになっている1)。鳥類の松果体では外節様構造は著しく退行し,それに代って充実性組織へと変化していく。哺乳類の松果体は実質性分泌型の組織像を呈し,グリア系の間質細胞と松果体細胞(pinealocyte)より構成されている。松果体細胞の中には感覚細胞に特有なsynaptic ribbonと呼ばれる構造物がしばしば認められ2),この細胞が光受容細胞から分化してきたことを物語っている。
Abstract
Pineal gland synthesizes and secretes a physio-logically active substance, melatonin. Melatonin is synthesized from L-tryptophan via serotonin by four successive enzymic reactions: Serotonin is converted to N-acetylserotonin by serotoninN-acetyltransferase (NAT) and then to melatonin by hydroxyindole-O-methyltransferase (HIOMT). The content of melatonin in pineal gland exhibits a marked circadian rhythm in various species of vertebrates, which is generated by a circadian change of NAT activity. The regulation mechan-ism of NAT rhythm is very much different between mammals and birds.
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