Japanese
English
解説
サーカディアンリズムの中枢機序
Neural control mechanism of circadian rhythmicity
井深 信男
1
,
川村 浩
1
Nobuo Ibuka
1
,
Hiroshi Kawamura
1
1三菱化成生命科学研究所脳神経生理学研究室
pp.445-455
発行日 1976年12月15日
Published Date 1976/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903155
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はじめに
生物行動を含む生命の現象には,心搏,呼吸などのような非常に速いリズムから,幼児にみられる数時間周期の睡眠—覚醒,ラットの自発的活動性やヒトの睡眠に代表されるほぼ24時間を周期とした行動,性周期のように動物により数日から数カ月に及ぶリズム,さらには鳥の渡りのような1年を単位とする行動などの多くのリズム現象がみられる。このなかでもほぼ24時間を周期としたリズムは最も多くの研究の対象となつてきた。Halbergは24±4時間の範囲のリズムをサーカディアンリズム(circadian rhythm)と呼び,これより周期の速いリズムをultradian rhythm,おそいリズムをinfradian rhythmと呼ぶことを提唱し,これは広く採用されるに至つた。
これらの生体リズムの研究はかなり古くから,甲殻類,昆虫,鳥類,哺乳類などさまざまの動物種についてなされてきたが,その生理機構に関する研究は少なく,昆虫での実験が最初である。哺乳類についてもその研究はここ数年間にはじまつたばかりであるといつてよい。なかでも,げつ歯類のサーカディアンリズムに関してはきわめて最近になつて,松果体のセロトニンアセチル転移酵素(NAT)24),副腎の皮質ホルモン量の変動22),水飲み行動37),車回し行動37),さらに筆者らの睡眠—覚醒リズム16,17)などの研究により徐々にその中枢機序が明らかにされつつある。
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