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はじめに
かつて「補体」は,その名の由来が示すように「抗体」の働きを補うものでしかなく,また,臨床的にも膠原病のパラメータとしての二義的な意味しかないと考えられていた。しかし,近年の急速な免疫化学の進歩は補体の活性機構を分子レベルで解明し,免疫学的にも,血漿酵素学的にも独自の系としての地位を確立した。また,近年相次いだ補体欠損症の報告は,補体自体が意味を持つ疾患の存在を示し,また欠損症の多彩な症状は,改めて補体の生物活性の多様性を認識させた。
こうした最近の発展は,研究者をして,補体にはもはや未開の地平はないと錯覚させたものであった。しかし,ここ数年一たび補体の周辺に目が向けられてくると,そこにはまことに豊饒な未知の領域が存在した。すなわち,補体レセプターを介しての血液細胞,また凝固線溶系,プロスタグランディン系との関連領域である。こうして,「抗体」との関係も,もはや補うものとしてではなく,対等以上のものとして理解されつつある。さらにcDNA,モノクローナル抗体など分子遺伝学の導入も相まって過去の「補体」という命名の由来とはかけ離れた領域となっている。
Abstract
The possible participation of the complement system in the pathogenesis of various nervous disorders has been suggested in experimental animals and in man. In this review, current concepts in complement system were summerized mainly focusing on complement system in cerebrospinal fluid (CSF).
The complement system consists of over 20 proteins which operationally constitute the classical (C1q, C1r, C1s ; C4, C2, C3) and alternative (Factors, B, D, C3) pathways, the terminal components (C5, C6, C7, C8, C9), and several regulatory proteins (C1 inactivator, Factors H, I, P).
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