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特集 神経疾患と免疫 Ⅰ
補体・食細胞と中枢神経の免疫異常
Complement-phagocyte system and immunological disorders in the central nervous system
佐野 雄二
1
,
井形 昭弘
1
Yuji Sano
1
,
Akihiro Igata
1
1鹿児島大学医学部第三内科
1Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Kagoshima University
pp.433-442
発行日 1983年5月1日
Published Date 1983/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205117
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はじめに
近年における補体免疫化学研究の進歩は著しく,今や補体は免疫学の立場はもとより,血漿プロテアーゼの一員として,分子レベルでの反応機構が解明されつつある。こうした現状においても,冒頭のPillemerの言葉は決して,古い響きを持っていない。むしろ,正に補体研究の現況を如実に示していると言える。研究者にとって,かように補体が常に問題を投げかけているのは,補体の持つ多様な生物活性,殊に他の免疫系への制御因子としての役割のためである。これは,細胞性免疫など他の免疫系の研究が進展すれば,それだけ補体は多くの問題を提起することになる。
「補体」と「食細胞」の関係も,その一つであり,研究も相まって進んできた。両者の関係を図式化すれば,「抗体」というspecificであるがeffectorとしての作用に乏しい系と,「食細胞」というspecificityには欠けるがeffectorとしての機能を持つ系を,「補体」は橋渡しし,一つの系にまとめていると言える。従って,「補体」の異常は抗体から食細胞への免疫学的伝達が中断することを意味し,最終的に「食細胞機能」の異常としてあらわれる。この意味から,本稿では「補体」を中心に話をすすめてゆきたい。
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