Japanese
English
研究
保存血清の補体成分C3の分解とその臨床的意義
Spontaneous Degradation of Pooled Complement Component C3 and the Clinical Meanings
上原 良雄
1
,
赤沼 益子
1
,
平野 孝明
1
,
中沢 宏明
2
,
山崎 健二
3
,
山田 三枝子
4
Yoshio UEHARA
1
,
Masuko AKANUMA
1
,
Kenji YAMAZAKI
1
,
Takaaki HIRANO
2
,
Hiroaki NAKAZAWA
3
,
Mieko YAMADA
4
1長野県須坂病院検査科
2松代病院検査科
3ヘキストジャパン株式会社
4長野赤十字病院検査科
1Suzaka Prefectural Hospital
2Koseiren Matsushiro Hospital
3Hoechst Japan
4Nagano Sekijuji Hospital
pp.203-206
発行日 1987年2月15日
Published Date 1987/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913258
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血清補体価,特にC3,C4の血中レベルの測定は,急性糸球体腎炎(AGN),膜性増殖性糸球体腎炎(MP—GN),全身性エリテマトーデス(SLE),遺伝性血管神経性浮腫(HANE)などの病態把握に有用である.ところが,採血分離後の血清の保存のいかんによっては,採血直後のC3値に比し,1週間後で,127±13%(x±SD, n=30)もの相対的高値となった.このC3値の上昇はC3の部分的分解(B1C→B1A分解)に起因していることが明らかとなった.C3測定に用いられる多くの抗血清は,抗C3C抗体として市販されているものであり,C3CのみならずC3+C3bとも結合した.しかし,おのおのの分画に比し,より強く結合するため沈降量が増加し,その結果,血清保存中のC3部分的分解を反映したC3値の相対的高値が観察された.この部分的分解がなぜ起こるのかという点に関しては,必ずしも,明らかにされていない.しかし,複数の活性化因子が存在することは明らかである.免疫複合体(SLO—抗SLO複合体)を保存血清に添加したところ,その添加量に比例したB1C→B1A部分的分解が観察されたところから,免疫複合体もその因子の一つであると考えられた.
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