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1.はじめに
中枢神経系の機能はその機能維持に必要な基質の供給を行なっている脳血管系によってささえられている。脳血管系機能の重要な指標の一つが脳血流量である。正常な状態では脳血流量は脳組織のエネルギー代謝と平衡(coupling)して変化する。脳血流量が減少すると,ブドウ糖や酸素の供給が不十分となり代謝障害が起こってくるが,血流量と代謝量とは必らずしも平衡して変化するのではなく,血流量の減少の程度やその持続時間などによりさまざまに変化することがin vivoで確認されるようになった1〜3)。実験動物を用いたこれまでの研究から,血流低下による障害には二つの閾値が存在すると考えられている4)。すなわち,その上方のレベルは電気生理学的な活動に代表される神経細胞の機能の障害を引き起こす程度の血流低下であり,もう一つのレベルはエネルギー代謝の障害とそれに伴なうイオンポンプの障害である。そして血流低下がこの二つの値の間にある場合―すなわち血流低下があってもエネルギー代謝の破綻のない場合まではまだ可逆的変化の可能性がある4)。このことから血流低下の程度および代謝の状態を定量的に把握することは脳血管障害の治療にとって大きな意義があると考えられる。これまで人間の脳で血流量とエネルギー代謝を局所的に計測しうる方法がなく,動物実験モデルにより得られた知見を臨床的所見にあてはめて推測していく,といった不十分な方法しかとれなかったのが実状である。
Positron CT measurement was performed for cerebrovascular disaese. The used radiopharmaceuticals were 15O labeled CO2, O2 and CO gases,and used positron CT device was Headtome-III developed in our institute by Kanno and coworkers. The physiological parameters which we calculated in stroke patients were regional cerebral blood flow (rCBF), regional cerebral oxygen consumption (rCMRO2), regional oxygen extraction fraction (rOEF), and regional cerebral blood volume (rCBV).
Patients with early stroke showed two types of uncoupling between blood flow and metabolism.
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