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I.注意と注視
ヒトも含めた動物の脳は,限られた知覚情報処理能力きり持っていない。しかし,動物は膨大な量の情報を有する環境の中で生活しており,その情報のあるものは,彼らの行動とその結果にとって重大な意味を持つ。したがって,動物が環境に適応した行動をし,生きていくためには,特定の情報を,他の情報の犠牲の下で選択しなければならない。このような脳における情報の選択を広い意味での注意(attention)と呼ぶ。さらに一度注意した対象をいつまでも注意し続けるのではなく,新しく別の注意すべき対象が現われたとき,その対象物に注意の転換(shift of attention)をはからなければ,動物は適切な行動を行なうことができず,したがって生きのびることはできない。このように考えてくると,注意はヒトも含めた動物の行動を左右する大きな要因であることがわかる22)。
以上のように動物行動決定の一つの要因である注意の脳内機構を研究することは,決して容易ではない。第一,動物が何に注意しているかを知ることも難しい。しかし,動物がある対象に注意するとき,しばしば視線を対象に向ける(foveal fixation;注視)ことが多い。そこで,注視を注意の外界への物理的表現とみなし,注視の研究をすることによって注意のそれの足がかりにしたいと考える。
Abstract
In the frontal eye field, visual neurons located in its lateral areas had receptive fields representing the foveal and parafoveal regions of the contra-lateral visual hemifield. On the other hand, medially located neurons represented eccentric or peripheral parts of the visual field. In the former areas, we found the neurons which maintained tonic activation during the foveal fixation to a target, while in the latter areas, there were neurons which showed an enhancement of their visual response when the animal made a saccadic eye movement to a target appearing in their receptive field.
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