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はじめに
神経筋接合部シナプスで明らかにされてきた化学伝達の仕組の基本的性質は,白律神経系や中枢神経系のシナプスにおいても共通していることはよく知られた事実である。神経終末に到達した活動電位によってCa依存性に放出された神経伝達物質は,シナプス後膜上の受容体に作用して興奮性および抑制性のシナプス電位を発生する。これらの電気的シグナルは,時間経過のきわめて速い反応であって,通常数十ミリ秒以内に完了する。しかしながら,このような基本的過程のほかに,自律神経節のような神経細胞間のシナプスでは,数秒から数分のオーダーで持続するはるかに長い時間経過の伝達過程が存在することも知られている。おそらく,機能的に高度に分化した神経筋接合部を除いて,一般にシナプスは単純なon-offシグナルを中継するだけの装置ではなく,時間的に多様性のある調節機構を備えているものと考えられるようになってきた。
ここ数年の自律神経系における形態学的および電気生理学的研究から,いくつかの神経ペプチドが,時間経過のゆっくりとした興奮性および抑制性のシナプス反応を仲介する伝達物質として働らいていることがほぼ確実と考えられるようになってきた。自律神経シナプスにおけるペプチド作動性伝達機構の性質は,おそらく他のシナプスにおいてもある程度共通したものであろう。
This article reviews the evidence for neurotransmitter roles of peptides in the autonomic nervous system mainly from neurophysiological view points. Particular emphasis is placed on substance P, LHRH and enkephalins in sympathetic ganglia where most of the critera have been met for identifying these peptides as transmitters for some slow excitatory postsynaptic potentials and presynaptic inhibition of ganglion transmission. Then possible transmitter roles of VIP, somatostatin and several other peptides arc considered at synapses of autonomic postganglionic fibers and visceral effectors.
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