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神経伝達物質として古くから知られているアセチルコリンとノルアドレナリンのほかに,セロトニン・ドーパミンなどのアミン類や,γ-アミノ酪酸などの2,3のアミノ酸も伝達物質としての存在が確立されてきた。ところが最近になって,もともと腸管とその誘導器官から抽出された多種のペプチドが,広く神経系に存在することが判明し,それらが,おそらく神経刺激伝達に関与しているであろうと考えられるようになってきた。そのいくつかについては,すでに,興奮あるいは抑制性伝達ないし調節物質であることを示す多くの実験結果が報告されている。自律神経系においても,これらのペプチドの存在と機能への関与についての知見が急速に増大している。そして,これまで節前・節後という2大神経単位から構成され,アセチルコリンとノルアドレナリンとが2主要伝達物質であると簡明に考えられてきた自律神経系は,よりいっそう複雑な系として理解されねばならないという様相を呈してきている。
免疫組織学的手法により,これまで,自律神経系内にその存在が判明したペプチドは10種以上に及び,その存在様式は多岐にわたっている。この神経系のうちで交感神経節は,その大きな,形態と解剖学的アプローチの容易さとから,とくに詳細に研究されてきたが5),副交感神経節についてはいまだ報告が少ない12)。古典的な節前神経細胞の位置する胸・腰髄側角におけるペプチドの存在様式についての研究は,やっと緒についた段階である6)。
The existence of various neuropeptides have recently been revealed in the autonomic nervous system by means of immunohistochemistry. The occurrence of vasoactive intestinal polypeptide (VIP), enkephalin (ENK), substance P (SP), cholecystokinin (CCK), somatostatin (SRIF) and avian pancreatic polypeptide (APP) have been shown to be particularly relevant in the prevertebral (celiac, superior and inferior mesenteric) ganglia of guinea pigs and cats.
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