Japanese
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特集 神経伝達物質の同定
総説
ペプチドの作用—神経伝達物質としての可能性
Actions of brain peptides: A possible role of neurotransmitters
小西 史朗
1
Shiro Konishi
1
1東京医科歯科大学医学部薬理学教室
pp.73-81
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903307
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はじめに
脳の神経細胞がペプチドを"化学的メッセンジャー"として分泌しているという考えが初めて提出されたのは1950年代のはじめであるが1),この考えが飛躍的に進展しはじめたのは1970年以降である。視床下部の神経分泌細胞(neurosecretory cell)がいくつかのペプチドを放出し脳下垂体からのホルモン分泌を調節していることはすでに確立した概念である2,3)。これらのホルモン分泌調節ペプチド(releasing hormone)を含めて,10種類以上の生理的に活性なペプチドが脳内に存在することが明らかにされている(総説4)を参照)。
これらのペプチドはいずれも脳内に選択的に分布していることから,特定の機能に関与していることが予想されている。その機能として現在のところ,ホルモン,神経伝達物質および調節因子(modulator)の三つが考えられている。しかし,ホルモンとして確定しているものを除いて脳内における実際の役割を同定するための証拠は十分とはいえない。一方,ホルモンと伝達物質の区別は放出部位から標的部位までの距離の差という点で明らかに区別されると考えられていたが,最近以下に示すような事実が明らかにされてきたので,ホルモンと伝達物質を明確に区別することはそれほど容易ではなくなっているように思われる。
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