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I.はじめに
主として神経系を侵す遺伝性疾患は数多くあるが,そのうちで臨床,病理の所見が白質および末梢神経系に比較的限られているものを一般にleukodystrophyと呼んでいる。この定義に従えば遺伝性以外の病因による白質—末梢神経系の疾患,たとえばmultiple sclerosis,Guillain-Barre,SSPEなどはleukodystrophyの範疇には入らない。この特集号ではleukodystrophyについての現在の知識,将来の方向を検討するのが目的であるが,個々の疾患についてはおのおのの章で詳しく扱われているので,この章では遺伝性leukodystrophyを総括して統一的に見る立場を取ってみたいと思う。
いわゆるleukodystrophyを1)遺伝性であること,および2)主な病変が中枢白質および末梢神経にあること,で定義したが,疾患が遺伝性であるということは,その原因がDNAの突然変異によるものでも,あるいは染色体異常によるものでも,その根本的な異常は白質や末梢神経に限られたものではないことを意味する。つまり,leukodystrophyの第一の特性は根本的異常は局在したものではないことを規定する。しかし第二の特性は逆に,根本的遺伝性の異常が何であるにしても,その発現はかなりの局限性を示すことを指摘する。
The term, "genetic leukodystrophy", implies an apparent contradiction. "Genetic" indicates uniform presence of the fundamental abnormality throughout the body, while "leukodystrophy"indicates that the clinicopathological manifestations are more or less limited to the central nervous system white matter and the peripheral nerves. This leads to a simplistic generalization. In a genetic leukodystrophy, the fundamental genetic defect must be located in the metabolic pathway of a constituent unique to myelin or its parent cells, the oligodendroglia or Schwann cells.
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