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I.はじめに
脱髄疾患においてグリアの研究が重要な位置を占めているのは,オリゴデンドログリア(以下オリゴ)が中枢神経系の髄鞘形成細胞であることから容易に理解できる。とくに各種代謝障害(リヒドーシスなど)や中毒(CO, cuprizoneなど),ウイルス(PMLやSSPE)などによる脱髄は,これらの因子が直接オリゴを侵襲することにより惹き起こされるので,脱髄はオリゴの障害の結果である。また,各種突然変異(Jimpy mouseなど)や先天性甲状腺機能低下などによる髄鞘形成不全もオリゴの一次性蛋白代謝障害などに基づくミエリン膜への脂質の挿入障害が原因であろう。したがってこれらについては別紙に譲るとして,ここでは多発性硬化症(MS)と実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)において,オリゴがはたして一次性の標的であるかないかについて主として述べることにする。
MSは従来よりウイルス説と自己免疫説が有力であるが,いまだ決定的な証拠は得られていない。その原因がウイルスであれ,アレルギーであれ,オリゴが一次性(primary)標的であるか否かを研究することはきわめて重要と思われる。
Abstract
The oligodendrocyte in multiple sclerosis (MS) and experimental allergic encephalomyelitis (EAE) was reviewed. Oligodendrocytes were decreased in the plaque of MS, however, recent findings in a biopsied specimen containing an active plaque showed preservation and hyperplasia of oligodendrocytes (Raine et al., 1981). Myelinotoxic serum from MS patients affects oligodendrocytes in vitro and in vivo non-specifically. There is no definite evidence to show immune responses to the oligodendrocyte specific to MS in both humoral and cellular immune reactions.
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